キャンプでおいしいコーヒーを淹れる方法

キャンプで珈琲

この記事では、キャンプやアウトドアでおいしいコーヒーを淹れる方法について、ちょっと本格的に解説しています。

  • 「キャンプで、本格的なコーヒーを淹れて楽しみたい!」
  • 「家族や友人においしいコーヒーを淹れてあげたい!」

そのように考えている方に読んでいただければと思います。

この記事の内容を再現していただければ、キャンプという不便な状況においても、おいしいコーヒーを淹れられます。

私は将来「カフェを経営できたらいいな」という夢があり、6年前からコーヒーの勉強を始めました。

  • カフェで起業を目指す人向けのセミナーに参加したり
  • 自分で色々な淹れ方や豆を試してみたり
  • 本や動画で基礎から学んだりして

今では、自分が講師としてセミナーを開けるくらいに知識や技能が身につきました。

そんな私が、コーヒーに対する知識があまりない方向けに、大切だと思うことにしぼってわかりやすく解説してありますので安心してください。

さて、本題に入る前に、この記事の参考文献を紹介しておきます。
私がコーヒーの淹れ方や考え方で最も影響を受けているのは次の2冊です。

  • 田口護『田口護の珈琲大全』
  • 井崎英典『ワールド・バリスタ・チャンピオンが教える 世界一美味しいコーヒーの淹れ方』

私はこの2冊をベースにコーヒーについて理解し、そして「キャンプ」というシーンに最適化したコーヒーの淹れ方を研究していることをお知らせしておきます。

それでは、解説していきます。

キャンプ・アウトドアでおいしいコーヒーを淹れる極意

キャンプでおいしいコーヒーが飲みたいなら、ペーパードリップという方法で淹れるのがおすすめです。
理由は、すっきりとして雑味のないコーヒーを淹れることができますし、アウトドアという環境でも使いやすい道具がそろっているからです。

キャンプ・アウトドアでおいしいコーヒーを淹れる極意は次の2つです。

①「煎りたて・挽きたて・淹れたて」の「3たて」を守る。
「豆の量」と「ドリップするコーヒーの量」をきちんとはかる。

この2つを守るだけで、かなり本格的なコーヒーを淹れることができるようになります。

極意①:「煎りたて・挽きたて・淹れたて」の「3たて」を守る。

木から収穫されたコーヒー豆(生豆)は、ざっくり次のような工程を経て、コーヒーとして飲むことができるようになります。

珈琲の工程

焙煎(ばいせん):豆を煎る(いる)こと。煎ることによって、香り、苦味、酸味、甘味といったコーヒー独特の風味が生まれる。

挽く(ひく):焙煎した豆を粉状にすること。挽くことで、豆の成分を抽出しやすくする。

淹れる(いれる):挽いた豆にお湯を通して、豆の成分を抽出すること。コーヒー豆の成分を抽出した液体がコーヒーである。

焙煎したての新鮮な豆を、飲む直前に挽き、淹れたてを飲む。
これを「煎りたて・挽きたて・淹れたて」の「3たて」と呼び、おいしいコーヒーを淹れるための究極の極意です。

とはいえ、「3たて」がおいしいのは、何もコーヒーに限ったことではありませんね。
採れたての食材を、食べる直前に調理して、できたてを食べる。
おいしいに決まっています!これと同じ原理です。

コーヒーの「3たて」について、もう少し具体的に解説します。

煎りたて:とにかく新鮮な豆を使う!

コーヒーの豆を選ぶとき、ものすごく重要なことがあります。

それは、豆の鮮度です。

豆の鮮度は、「焙煎してからの日数」で決まります。
「焙煎したてが最も新鮮な状態」と考えます。

しかし、焙煎したてが最もおいしいかというと、そうではないのがコーヒーのおもしろいところです。

コーヒー豆は、焙煎してから4~5日後が最も味に深みが出てきて飲み頃となります。
その後はどんどん酸化していき、香りも味も落ちていきます。

新鮮な豆は、香りが高く、粉にして湯を注いだときに大きくふくらみます。
逆に鮮度が落ちた豆は、香りが失われ、湯を注いだときにふくらみません。

新鮮な豆と鮮度が落ちた豆

保存の仕方にもよると思いますが、豆の鮮度の限界は、焙煎から2~4週間までと言われています。

りゅうせん
りゅうせん

私の感覚では「常温保存だと2週間まで」ですね。

だからおいしいコーヒーを淹れるためには、焙煎から「4~5日経過」していて、かつ「1~2週間以内」の豆を使うようにしてください。
これだけでも、コーヒーは劇的においしくなります!

しかし、ほとんどの人はコーヒーを買うとき、「焙煎してから何日経過しているか」なんて気にしないと思います。
気にしたとしても、せいぜい「賞味期限はいつまでか」くらいでしょう。

ちゃんとした豆やこだわりのある店の豆なら、焙煎した日を明記しているはずです。(明記していとしても、聞けば教えてくれるはずです)
例えば、私が買っている豆は次のように書いてあります。

焙煎日を明記した豆の例

このような豆を購入するようにしてください。
自家焙煎をしている店で手に入れることができます。

ちなみに、スーパーや大手カフェチェーン店で売っている豆は、ほとんどが焙煎日を明記していないと思います。
だから私はそのような店でコーヒー豆を買うことはありません。

りゅうせん
りゅうせん

鮮度の落ちた豆では、いくらがんばってもおいしいコーヒーを淹れることはできませんからね。

挽きたて:とにかく飲む直前に豆を挽く!

挽きたて豆を使って淹れたコーヒーは香りが高く、とてもおいしいです。

先ほど、「焙煎した豆はどんどん酸化していき、鮮度が落ちていく」と言いました。
挽いて粉にした豆は、豆の状態よりも空気にふれる面積が増えるので、酸化のスピードがさらに速くなります。

だから、コーヒーを飲む直前に豆を挽くことが大切なのです。

挽きたてコーヒーを飲むためには、次の2つがポイントになります。

  • コーヒーは豆で買うこと。(粉で買ったらダメ!)
  • キャンプ場にミルを持って行く。

キャンプでは、下のようなハンドミル(手挽きミル)がコンパクトなのでおすすめです。

ミル

キャンプに持って行くコーヒー道具については、別記事で解説する予定です。
今しばらくお待ちください。

淹れたて

コーヒーは淹れたてを飲むのが一番おいしいです。

長時間保温したり、あたため直したりすると香りや味が落ちてしまいます。

極意②:「豆の量」と「ドリップするコーヒーの量」をきちんとはかる

「豆の量」と「ドリップするコーヒーの量」はマジではかってください!

「豆の量」と「コーヒーの量」を目分量で入れるということは、例えて言うなら、米と水を目分量で入れてごはんを炊くようなものです。

りゅうせん
りゅうせん

かなりの確率で固すぎたりやわらかすぎたりして、自分好みのおいしいごはんは炊けないでしょう。

それくらい無謀な行為です。

厳密に言うと、「量(体積)」ではなく「重さ」ではかるほうがよいのですが、キャンプ場に重さをはかるためのスケールを持っていくのはあまり現実的ではありません。

そこで、次の2つの道具を持って行きます。

  1. メジャースプーン(豆をはかる)
  2. コーヒーサーバー(ドリップするコーヒーの量をはかる)

以下、解説します。

「豆の量」をはかる道具:メジャースプーン

メジャースプーン

私はHARIO社のメジャースプーンを使っています。

8g、10g、12gの目盛りがついていて、だいたいの目安にすることができます。

「ドリップするコーヒーの量」をはかる道具:コーヒーサーバー

コーヒーサーバー

豆の量と同じく、ドリップするコーヒーの量も絶対にはかってください。

なぜなら、湯の量がわからないと、コーヒーを自分がねらった濃さ(自分好みの濃さ)にできないからです。

そこで、湯の量をはかるためにコーヒーサーバーが必要になってくるのです。

キャンプ場では、マグカップに直接ドリップしている人を多く見かけます。
持って行く道具も洗い物も少なくなるので場合によってはよい方法なのですが、「よりおいしいコーヒーを淹れる」という観点から見るとよくない方法です。

マグカップに直接ドリップする方法のデメリットは以下の通りです。

  • ドリップしたコーヒーの量を正確にはかれない。【これが致命的!】
  • コーヒーフィルターの先が、ドリップしたコーヒーに浸かってしまう。
  • 複数人のコーヒーを一気に淹れることができない。
  • マグカップはドリップするときに不安定になりがち。
りゅうせん
りゅうせん

この問題を一気に解消してくれるのがコーヒーサーバーです。

キャンプ的には「かさばる」というのがデメリットですが、費用対効果は高いと思います。

ちなみに、サーバーは絶対に透明のものがおすすめです。

なぜなら、キャンプ用品でよくあるステンレスやチタンのサーバーだと、ドリップしながらコーヒーの量を確認するのに不便だからです。

以上が、キャンプ・アウトドアでおいしいコーヒーを淹れる極意でした。

キャンプでおいしいコーヒーを淹れる方法(ペーパードリップ)

それでは、いよいよペーパードリップの手順について解説していきます。

まず手順をまとめると、次のようになります。

①道具、豆、湯の用意
②湯が沸いたら、湯の温度を落ち着かせる
③蒸らし(1回目の注湯)
④2回目、3回目…と注湯していく
⑤目標の量までコーヒーが落ちたら、ドリッパーを外して抽出を止める
⑥マグカップにコーヒーを注ぐ

手順①:道具、豆、湯の用意

まず、必要な道具を用意をします。
私は、次のような道具を使っています。

コーヒーを淹れる道具

キャンプでおいしいコーヒーを淹れるための道具については、下の記事でかなり詳しく解説してありますので今回は省きます。ぜひご覧ください。
>>キャンプでおいしいコーヒーを淹れるための道具【ペーパードリップ】

湯を沸かす

キャンプで使っているケトルで湯を沸かします。

湯はマグカップの湯煎(ゆせん)の分も考えて、多めに沸かすようにします。

豆をメジャースプーンではかり、ミルで挽く

私は、「最初の1人分が10g。以下、1人分増えるごとに8gずつ足していく」という基本ルールで豆を使っています。
例えば、2人分だと18gです。

厳密に言うと、人数が多くなるほど豆を少なく調整するのですが、コーヒーの味がわかるようになるまでは気にしなくてOKだと思います。

そして、豆をミルで挽いていきます。

ミルで挽く

挽きたての豆のいい香りがしてきます。
手で挽くのはわりと手間ですが、子供は喜んでやってくれます(笑)

豆を挽き終わって粉にしたら、ペーパーフィルターに入れます。

ドリッパーを揺すって、粉の表面を平らにする

平らにする

粉の表面が平らになっていないと、お湯を注いだときにお湯が端に流れてしまいます。

これを防ぐために、粉の表面を平らにしておきます。

手順②:湯が沸いたら、湯の温度を落ち着かせる

ペーパードリップの場合、沸騰直後(100℃)の熱湯は注がず、湯の温度を少し落ち着かせてから注ぎます。

私は、井崎氏が基準温度としている92℃の前後で淹れるようにしています。
ただ、電子ケトルや温度計をキャンプ場に持って行くようなことはしません(邪魔です…)。

かわりに、

ポットの湯をサーバーに淹れる→サーバーから湯をポットに戻す

という方法で、お湯の温度を落ち着かせます。

図で解説しますと…

サーバーに入れて戻す

寒い時期だと、1回で十分です。
暑い時期だと、1~2回くらいです。

これでだいたい湯の温度が92℃前後に落ち着くと思います。

この方法だと、同時にコーヒーサーバーをあたためることもできるので一石二鳥です。
細かい技術ですが、コーヒーが接する道具はすべてあたためておくとよいですよ。

マグカップに湯せんを忘れずに

湯せん

1回目の注湯をする前に、マグカップに湯を注いで「湯せん」をします。

マグカップが冷えていると、コーヒーを注いだときに一気に冷めてしまいます。

手順③:蒸らし(1回目の注湯)

ペーパードリップで最重要ポイントが「蒸らし」(1回目の注湯)です。

「蒸らし」をすることで、2回目以降の注湯をしたときに、コーヒーの成分を効率よく抽出できるようになるのです。

「蒸らし」を成功させるためのポイントは次の2点です。

  1. 粉全体が湯と触れている状態にする。
  2. 蒸らしの時間を守る。

それでは、蒸らし(1回目の注湯)をしていきましょう!

粉全体が湯と触れている状態にする

湯の温度を落ち着かせたら、蒸らし(1回目の注湯)の開始です。
湯をコーヒーにそっと注ぎ、粉全体が湯と触れている状態になったら注湯を止めます。

新鮮な豆はふくらむ

このとき、新鮮な豆を使っていれば、上の写真のように粉がふくらんでくると思います。

それを見ながら、じっと待ちます。

蒸らしの時間を守る

私の場合、「最初の1滴をコーヒーに落とした瞬間から計測して、10秒程度で1回目の注湯を終え、2回目の注湯を始めるのが40秒後」というのを基本ルールとして淹れています。

タイムラインとして表すと、次のようになります。

0:00 1回目の注湯開始
0:10 注湯を止める→蒸らす(約30秒)
0:40 2回目の注湯開始

ちなみに、蒸らしの時間については諸説あります。
慣れてきたら蒸らし時間を変えてみて、どのように味が変化するのかを試してみるのもいいかもしれませんね。

革手袋や布巾などでケトルの底部分を支えると注ぎやすい

ケトルの底をグローブで

キャンプで使うケトルは、コーヒードリップ用ポットと比べると、どうしても湯を注ぎにくいです。

そこでおすすめなのが、革手袋や布巾などでケトルの底部分を支える方法です。

ケトルが安定するので、湯を注ぎやすくなりますよ。

ただ、火傷には十分注意してください。

手順④:2回目、3回目…と注湯していく。

蒸らしが終わったら2回目の注湯です。

湯が粉全体にいきわたるように、中心から外側に向かって渦を描くような動きで湯を注いでいきます。

2回目3回目の注湯

ある程度湯を注いだら注湯を止めて少し待ちます。

そしてドリッパーの湯が全部落ちきる前に、3回目の注湯を開始します。

これを目標のコーヒーの量になるまで繰り返していきます。

ドリッパーの湯は落ちきらないようにするのが基本

湯を注いでいると、ドリッパーの上のほうに白い泡のようなものが浮いてきます。

コーヒーのアク

これはコーヒーの「アク」と呼ばれるもので、えぐみ、しぶみなど、コーヒーのおいしくない成分が浮いてきているイメージです。

この「アク」がコーヒーサーバーに落ちないように、ドリッパーの湯が落ちきらないうちに、次の注湯を行うわけです。

手順⑤:目標の量までコーヒーが落ちたら、ドリッパーを外して抽出を止める

2回目、3回目…の注湯をしながら、サーバーの目盛りをよく見ておきます。

ここが最後のポイントです!

落とすコーヒーの量をきっちりはかってください!

落とすコーヒーの量をはかる

よーく目盛りを見て、コーヒーが目標の量まで落ちた瞬間、ドリッパーを外して抽出を止めます。
ぼーっとしてたらあっという間にドリップし過ぎちゃうから注意です。

ここでも、ドリッパーの湯が落ちきらない状態でドリッパーを外すようにしてください。

ドリップは1回目の注湯から3分前後で終わるようにする

抽出時間を3分前後で終わらせるようにします。

理由は、3分以上経つと、コーヒーからうまみ成分だけでなく「えぐみ」なども出てきてしまうからです。

手順⑥:マグカップにコーヒーを注ぐ

抽出が終わったら、マグカップに注ぐ前に、サーバーの中のコーヒーを混ぜます。

なぜなら、サーバーの中のコーヒーは濃度が均一ではないからです。

スプーンなどで混ぜるのが確実ですが、キャンプではあまり洗い物を出したくありません。
そこで私は、サーバーを揺すって中のコーヒーを混ぜています。
ただし、コーヒーがサーバーから飛び散らないように注意です…

混ぜ終わったら、マグカップにコーヒーを注ぎます。

りゅうせん
りゅうせん

湯煎をしているマグカップの湯を捨てるのを忘れずに(笑)

マグカップに注ぐ

おいしいコーヒーが入りました!

まとめ:キャンプで贅沢なコーヒータイムを楽しもう

以上、キャンプでおいしいコーヒーを淹れる方法について解説しました。

コーヒーの淹れ方は諸説ありますので、「この記事の淹れ方が誰にとってもベスト」というわけではありません。

まずこの記事の淹れ方をマネしてみて、繰り返し入れる中で自分なりのベストな淹れ方を見つけていっていただけたらと思います。

最後に、参考文献をあらためてご紹介しておきます。

田口護『田口護の珈琲大全』
コーヒーについて体系的、網羅的に書かれています。
どちらかといえばプロ向けの本ですが、コーヒーについて基礎から学びたい方にはおすすめです。

井崎英典『ワールド・バリスタ・チャンピオンが教える 世界一美味しいコーヒーの淹れ方』
世界チャンピオンが言うことははやり説得力が違います。
シンプルでわかりやすく書かれているので、非常に読みやすい本です。

下の記事では、キャンプでおいしいコーヒーを淹れるための道具について詳しく解説しています。
合わせてお読みください。

りゅうせん
りゅうせん

今日も最後まで読んでくださってありがとうございました!

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